飲食店開業を成功させるために必要な価値観とは何か、専門家に聞いてみた。

(2016/10/21更新)

飲食店開業を成功させるために本当に必要なことは何か、考えたことはありますか?
体力や味の実力、人脈など様々な要因が考えられます。今回はそれを支える根底の「価値観」について、飲食店独立専門に融資支援を行う税理士の大野氏にインタビューしました。

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大野 晃(おおの あきら)
1984年生まれ。ITA大野税理士事務所 税理士。株式会社CHANGE代表取締役。一般社団法人中小企業税務経営研究協会 理事 飲食店に特化した独自のビジネスモデルを確立し、税理士業界初の飲食店開業融資支援専門に業務を行っている。著書「繁盛する飲食店が必ずやっている開業資金の調達方法」がある。

自分にとって「成功とは何か」を決める

ー開業するにあたって、これだけは勉強しておいたほうがいい、知っておいたほうがいいなど、何かアドバイスはありますか?

大野:すごい大枠になってしまうんですが、経営の根本的な考え方で「価値観」というのがあります。その価値観を持っていない方が多いかなと感じます。例えば、開業するにあたって“成功ライン”があるじゃないですか。そもそもその“成功ライン”ない方がとても多いんですよ。どうなったら成功なの?という話ですね。

ーなるほど。確かに、「こうなったら成功」というビジョンなしで始めている方は多いかもしれませんね。

大野:中には「1億円」なんてイメージもあるんでしょうけど、それだったら1億円を持っている資産家の方々はみんな幸せなはずってことになってしまいます。そうでないから、成功の定義は必要なんですよ。

幸せの先に、成功がある

大野:私がよくお客様に話すのは「幸せと成功の違いって何」ってこと。例えば芸能人のAさんが好き、Bさんが好きというのは、価値観なんですよ。だから、テレビで見かけたら、幸せを感じる。食べ物でもそうですよね。カレーが好き。これも価値観。

しかし、「何食べたい?」って言っても「わかんない」と言う人がいるじゃないですか。そんな風に決めきれない人、ランチタイムにウロウロしてしまう人は価値観がないんですよ。だから「何が好きか」ということをわかってないと、幸せになりようがないんですよね。

よく幸せの先に成功があると言われています。さっきの話でいうと芸能人のAさんとBさんがいたとき、それぞれ「Aさんがいい」という人と「Bさんがいい」という人がいると思います。これが価値観で、幸せですよね。では“どっちがいい”となったとき、自分も他の人も「Aさんがいい」となることがあるじゃないですか。この自分と他者の価値観が交わった地点が成功ラインなんだと思います。

飲食店経営に例えれば、価値観であるコンセプトを明確に発信して自社のコンセプトにお客様、スタッフも共感してくれるラインが成功ラインになり、この成功ラインにのれば活気が出て集客や採用に困らなくなるのかなと思います!

時間をお金で買い、経営に集中する

ーオーナーがITに詳しくなかったり、簿記が全然わからなくても飲食店開業するには問題ないでしょうか。

大野:私は、簿記なんていうのはむしろ覚えないほうがいいって言っているんですよ。借方・貸方、仕訳を覚えたところで、1円の利益も生み出せないですからね。だって大事なのは結果の部分じゃないですか。経営における財務諸表の貸借対照表なんてスタートアップ時期から見る必要はないと思っています。それこそ専門家がいるので、専門家からしっかり教わればいいでしょうし、最初は必要な部分だけ覚えていけばいいんですよ。
スタートアップ時期で大事なことはとにかく本業に集中して売り上げをどうあげていくかを考えていく事が重要なのかなと思います。

ー専門家にアウトソースして、本業に集中するということですね。

大野:はい。ポイントは成功する人は時間をお金で買うってところ。要するに、税理士はタクシーだと思ったほうがいいですよっていつも言うんですよ。何時間もかけて歩けば行ける道でも、タクシーを使えばどういうことが起きますかっていう話ですよね。使える時間も増えて、快適に過ごすことができます。

失敗している飲食店のオーナって「領収書をこんなふうに貼る」とか「経費がどうのこうの」ということをやってしまっている人が多いですね。領収書の貼り方なんて経営に役立つわけじゃないですから。税理士に専門家報酬を払って、その浮いた時間で本業の売上で回収する方が絶対に良いです!
大事なのは経費削減思考でなく「払った分回収すればよい」と言う思想が経営上重要なのかなと感じます。

確定申告の作業だって何百時間もかかって調べて自分でやっても合っているかどうかもわからないんですよ?時間を費やしたあげく間違っていたら税務署からペナルティーで延滞税等がかかり本末転倒です・・・素人なのでそんな法律しりませんでしたでは済まないのです・・・何百時間を本業に費やした方がよっぽど有益だと思います。何百時間もカチャカチャ会計ソフト入力して…それは1円の粗利にもならないからやめた方がいいですよって私は言っています。
また、浮いた時間でご家族や彼氏彼女や友人との時間にも使っていただきたいかなと思います。
経営して経理関係で多忙になって家族との時間が削れ家庭不和になってしまっては精神的に滅入って飲食店経営にも大きいダメージを受けてしまいます。
リフレッシュも立派なお仕事です。ストレスを抱えてはどんなに楽しいお仕事もつまらなくなって効率もおちます。

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メンタルは経営に大きく影響する

大野:私は相談に来た方に、精神面の話をすることが多いです。精神的に病んでると、結局何も動けないですから。“人間万事塞翁が馬”という中国の古典があるんですよ。良いことがあっても悪いことが起きて、悪いことがあっても良いことが起きる、その繰り返しってことです。だから悩まないで、ずっとプラス思考でいてくださいってお話しするんです。例えば、彼氏彼女と別れたとなるとやっぱり気分的にへこむじゃないですか。そうするとパソコンで作業していてもなんだかうわの空で、マーケティングどころじゃないんですよね。

過去の事象は塗り替えられます。たとえ別れたとしても、未来には新しい人と付き合って、たいてい「あの人と別れたおかげでこの人と付き合えた」「あの時は悩んでいたけど今は良かった」って思うんです。ほら、過去が変化しているじゃないですか。精神的に病んでると結局経営失敗しますよって言う話をして、経営者としてメンタル面の回復に努めます。

自分の感情をコントロールすることも大事

大野:あとは、人を怒ってはいけないですね。スタッフさんを怒って一気に分裂するケースが多いですから。私も以前はイライラする人間だったんですよ。怒って心無いことを言ってしまってスタッフを辞めさせてしまったことがあります。今となっては本当に言わなければよかったと思っているんですよ。

今までの教育費やら採用広告費やら、大損害じゃないですか。だから「人はほめる。いらいらしても絶対に怒らない」と書いて携帯のアラートに仕込んでおいたんです。心無い一言で怒ったら自分に何百万円の損失が来る。だから怒っちゃいけないんだ。と、朝昼晩にアラートをスマートフォンで流していたら、だんだん怒らなくなりましたね。そういった落とし穴が開業後はいっぱいあるので、自分の実体験を交えながら落とし穴を先に話しておくんです。

この記事のポイント!
  • 成功のラインは自分で決めること!
  • 自分と他者の価値観が交わった地点が成功ライン
  • 精神面は経営に影響を及ぼす

(取材協力:ITA大野税理士事務所/大野 晃
(編集:創業手帳編集部)

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